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会長コラムのページ <長崎県自閉症協会の会長からの配信です>

8月の想い  長崎県自閉症協会 会長 長島謙二

「まず自分を大切にしてください。」
私は教員としてずっと生徒たちに言い続けてきました。

自らの存在と命を尊重してほしいという願いが込められています。その根底には「自分を大切にできない人が、ほかの人を大切にできるはずがない」という思いがあります。それは、他者への思いやりの気持ちを持つことこそが、社会をより良くしていくと信じているからです。

 8月6日「ヒロシマ」、9日「ナガサキ」。鎮魂と恒久平和を思い、どんな人の命も安易に奪ってはならないということを、改めて心に深く刻むべき日です。しかし現実の世界は、「自分ファースト」「自国ファースト」に覆われつつあるように思います。自分の気持ちと生活さえ安心安全ならばいい、自分の国さえ豊かであればいい。そこから「核の傘」は戦争抑止に効果的だという考えが生じるのでしょう。核兵器廃絶どころか、倫理を喪失した政治の道具です。「発達障害など存在しない」という言説も、根っこは同じでしょう。

 多様性を否定するグローバルは、私たちの子どものような障害を持つ人間の存在を無視し、生き生きと暮らす権利を脅かしかねません。先日の本部総会では、「親亡き後の」などとのんびりしている場合ではない、子も親も高齢化してきているという厳しい意見もありました。私たちは「共生」社会が画餅ではなく日常になるように、それぞれの思いを語り合いながら、地道に、そして少し速足で歩んでいく必要があります。

発達障害児等教育支援連絡協議会報告  長崎県自閉症協会 会長 長島謙二

 10月6日に県教育センターで行われた上記協議会に出席しました。壱岐、対馬を含む21市町の教育委員会の方々、県教育庁の特別支援・義務・高校の課長、桜ケ丘特別支援学校・南島原市深江小学校・島原翔南高等学校校長、大村市立放虎原こども園園長、県子ども未来係長、県こども家庭課係長、学事振興課課長補佐、「のこのこ」会長・副会長などが出席されました。

 県教育委員会の特別支援教育に関する概略説明の後、各市町から「特別支援教育の理解啓発」についての研修の実施内容の報告、理解啓発に向けての取り組みの内容や取り組もうとしていることなどの説明が行われました。その後、各学校現場での取り組みや現状についての説明がなされました。最後に、保護者として、「のこのこ」の奥野会長と私がそれぞれの立場から話をして閉会となりました。

 それぞれの関係者が、真面目に特別支援教育に取り組んでいることは理解できました。しかし、「発達障害児等教育支援」と「特別支援教育」が曖昧に扱われているようです。各市町における取り組みの温度差にはかなりの開きがあるように思いました。それは各学校における教育支援にも影響を与えているのではないかと推察されます。また、「共生社会づくりのための特別支援教育の理解啓発について」協議するはずでしたが、全く行われませんでした。初参加の私としては戸惑いと残念な気持ちだけが残った会でした。福祉や教育に関する行政の現状は、全国的にこういうものだと思います。

 しかし、当事者である子どもたちと共に生きる私たちは、とにかく力を振り絞って前向きに進んで行くしかありません。あきらめることなく、皆で協力しながら少しずつでも事態が好転するように声を出し続けて行きましょう。

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