「まず自分を大切にしてください」。
私は教員としてずっと生徒たちに言い続けてきました。
自らの存在と命を尊重してほしいという願いが込められています。その根底には「自分を大切にできない人が、ほかの人を大切にできるはずがない」という思いがあります。それは、他者への思いやりの気持ちを持つことこそが、社会をより良くしていくと信じているからです。
8月6日「ヒロシマ」、9日「ナガサキ」。鎮魂と恒久平和を思い、どんな人の命も安易に奪ってはならないということを、改めて心に深く刻むべき日です。しかし現実の世界は、「自分ファースト」「自国ファースト」に覆われつつあるように思います。自分の気持ちと生活さえ安心安全ならばいい、自分の国さえ豊かであればいい。そこから「核の傘」は戦争抑止に効果的だという考えが生じるのでしょう。核兵器廃絶どころか、倫理を喪失した政治の道具です。「発達障害など存在しない」という言説も、根っこは同じでしょう。
多様性を否定するグローバルは、私たちの子どものような障害を持つ人間の存在を無視し、生き生きと暮らす権利を脅かしかねません。先日の本部総会では、「親亡き後の」などとのんびりしている場合ではない、子も親も高齢化してきているという厳しい意見もありました。私たちは「共生」社会が画餅ではなく日常になるように、それぞれの思いを語り合いながら、地道に、そして少し速足で歩んでいく必要があります。